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第1部 (序章)

第2章 IRに関する理解

1.実践的IR活動

 前項までは理論的な話を展開したが、最後に中小型銘柄を中心として、今までの議論を踏まえた実際のIR活動について述べたい。中小型株としたのは上場会社数では圧倒的多数派であり、各社ごとの多様なIRの進め方が想定される中で様々なケースが考えられるからである。

 中小型株といった場合に具体的に時価総額でいくら以下という定義はないが、相対的に時価総額が低いという想定で、投資信託で中小型株ファンドのユニバース設定の条件等を参考に考えると時価総額で100〜2,000億円程度のイメージである。東証だけを見ても、東証一部の上場企業数は1,682社(12年9月26日現在)で時価総額と流動性の高いものから大型株として100銘柄、中型株として400銘柄、それ以外を小型株として分類している。上位100銘柄以外は全て中小型株として括る。また大きく流動性が劣る東証二部上場会社数は419社(同上)であるから、マザーズ銘柄を除いても約2,000社という圧倒的多数が範疇に入ることになる。

 中小型株のイメージは、相対的に流動性が低いことから売買が一方向に傾きがちであり、ボラティリティが大きく値動きが荒い、といったものであろうか。一方では、独自のビジネスモデルを持ち、成長性が期待できる銘柄が多い、といったものもある。

 機関投資家あるいは個別のファンドでは、そもそもユニバースに入っていないという場合も多いと思われる。また多くの銘柄は、セルサイド・アナリストのカバレッジから外れているか極めて不十分な状況であろう。

 まず初めに、IRに取り組む自社の心構え、体制等はどういったものかを把握しておかなくてはいけない。

 制度的開示で十分ディスクローズは果たしている、体裁が悪いので仕方なく・なんとなくやっている、他社がやっている程度のことはやる等、仕方なしにとかやらされている感が一杯であるとかの場合、あるいは当社は市場から特に注目されている訳ではないから、IRを行うよりも業績が急伸したり、新製品が成功した場合の方が株価は上昇するから、説明会を開催しても人が集まらないから等、無気力、投げやり感が強い場合は、まず社内の意識改革から始める必要がある。IRの前にER(Employee Relations:従業員向け)の取り組みが必要である。IRをどう位置付けているのか、定義通りとは言わないが、能動的な考え方がない場合は要注意である。

 経営陣はIRをどう捉えているのか、特に経営トップの姿勢を把握しておくことは重要である。それによってIR活動推進の成否が決まるからである。自らイニシアチブを取って先頭に立ってもらえれば言うことはないが、少なくともIRが重要であるという認識があり、準備をしておけば否定せず消極的ながらも協力してもらえる状況にあることが望ましい。また良い時ばかりではなく悪い時にこそ取り組む姿勢を持ってもらうことが必要である。IRコンセプトでも述べたように継続性は極めて重要な要素である。

 IR担当者が心掛けることは、自社の内部において客観的に自社を見る目を持つことである。昨今は制度的にも開示の頻度が上がり、1つのことが終われば次に、という具合に休む暇なく業務は続いていく。ともすれば繁忙に流されがちになるが、その中で心掛けは持ち続けてもらいたい。

IR活動展開イメージ図

ESG投資の状況

 さて、IRの方針・戦略を策定するに当たっては、まず客観的に自社を分析し訴求ポイントを決めることが必要である。その上で、限られた資源を何に集中していくのかを決定する。

 まずコーポレート・ストーリーの作成が必要である。


以下本書に続く


JSS
石野 忠志


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