IR・SR(Shareholder Relations)総合支援、株主判明調査、議決権行使対応、コーポレート・ガバナンス

JSS 日本シェアホルダーサービス株式会社
  • サイトマップ
  • English
ホーム  > 株主と対話する企業  > 日本版ケイ・レビューの行方(その2)

コラム


日本版ケイ・レビューの行方(その2)
2013年9月13日号

 今回も引き続き日本版ケイ・レビューについて考えていきたいと思います。

 本家ケイ・レビューは、いままで行われてきた金融市場の整備が、かえって短期志向を助長し、それにより企業も投資家も株式市場から離れてしまい、株式市場がイノベーションのための長期資金調達の場ではなくなっているという報告であり、改善のために17の提言(recommendation)を行っています。

 イノベーションを促進するための長期資金調達の場としての株式市場の弱体化とそれにいかに対応すべきか、という問題については、実はアメリカでもずいぶん前に調査報告書が出ています。2004年12月に発表された「国家イノベーション・イニシアティブ報告書(Innovate America: Thriving in a World of Challenges and Change)」(座長は当時IBMのCEOだったサミュエル・パルミサーノ氏であり、その名前をとって「パルミサーノ・リポート」と呼ばれている)がそれです。産学官400名以上が侃々諤々の議論を行い、15か月かけてまとめたものです。しかし、リーマンショックや欧州危機等、そしてIT技術の発達を経て、株式市場は高速取引の普及・活発化などむしろ短期志向が加速してしまったといわざるを得ない状況です。そんな中で発表されたのがケイ・レビューというわけです。

 ケイ・レビューの17の提言については紙幅の問題があるので、オリジナルのリポートか経済産業省が作成した抄訳をご覧いただければと思います。URLは以下の通りです。

 http://www.publications.parliament.uk/pa/cm201314/cmselect/cmbis/603/60310.htm

 http://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/corporate/130716_IPJ_6_2.pdf

 しかし、この提言とその効果について批判が多いのも事実です。例えば、提言の11番目には「強制的な四半期報告義務は撤廃されるべきである」とありますが、四半期報告を廃止すれば大丈夫と思う人はどのくらいいるのでしょうか。繰り返しになりますが、パルミサーノ・レポートも、ケイ・レビューも短期志向の退治には必ずしも成功しているとは言えない状況です。

 ケイ・レビューの発表から1年たって日本でも同じ問題意識に基づいた課題についての議論が行われているということになりますが、前回書いた通り、経産省はいまになって事務局を募集するなど若干後手に回っている懸念があります。チーム伊藤の奮闘を期待する次第です。

日本シェアホルダーサービス(株)
山崎 明美

本資料は弊社の著作物であり、著作権法により保護されております。弊社の事前の承諾なく本資料の一部または全部を引用、複製または転送等により使用することを禁じます。