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コラム


日本版ケイ・レビューの行方
2013年9月10日号

 5月に日本版スチュワードシップコードについて取り上げましたが、今回は日本版ケイ・レビューと呼ばれているプロジェクトについて取り上げてみましょう。

 日本版ということは、もとの外国版があるということですが、ケイ・レビューはスチュワードシップコードと同じく英国由来です。ビジネス・イノベーション・職業技能省というお役所が英国の名門大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のジョン・ケイ(John Kay)教授に委嘱して検討・執筆されたもので、昨年7月に最終報告が出ました。英国ではコーポレート・ガバナンスのキャドバリー・リポート等もそうですが、人名を冠した諮問委員会報告書がたくさん出ています。そういえば日本にも前川リポートというのがありましたね。前川リポートは通称で、正式名は「国際協調のための経済構造調整研究会報告書」でしたが、ケイ・レビューの正式名称は“ THE KAY REVIEW OF UK EQUITY MARKETS AND LONG-TERM DECISION MAKING ”です。そのまま直訳すると「英国株式市場と長期的意思決定にかかるケイ・レビュー」とでもなるのでしょうか。経済産業省はあっさり「ケイ報告」と訳しています。

 さて、ケイ・レビューはタイトルの通り長期株式投資の現状とあり方について分析を行ったものです。ますます短期志向(ショート・ターミズム)を強めているといわれる株式市場がなぜそうなったのか、何が問題だったのか、そして企業の長期的な成長に向けて長期投資を促進するためには、今後どうすべきか、という点について書かれたものです。

 さて、翻って日本では、安倍政権が、日本企業の競争力強化にはコーポレート・ガバナンスが重要であるという方向性を打ち出しました(あまりはっきりと認識はされていませんが、日本版スチュワードシップコードのもとになっているのはそういう考え方なのですね)。そこで、経済産業省は、企業と投資家の対話を深める新たなプロジェクトとして、伊藤邦雄 一橋大学大学院商学研究科教授を座長とする「持続的成長への競争力とインセンティブ〜企業と投資家の望ましい関係構築〜」という会議で議論を行うこととし、7月に第一回会合が行われたというわけです。

 しかし、この会議はあまりに人数が多い。座長以外に40名の参加者と3名のオブザーバー、そして事務局2名。参加者の一人に話を聞くと、そもそも忌憚のない意見を聞くために活発に発言する人を集めたものの、大人数のため、発言できない人も毎回多数おり、意見もまとまらないため、今後は月に2回程度開催せざるを得ない状況とのこと。しかも、今になって、外部に事務局を公募している模様。来年3月末までには意見をとりまとめ、報告書を作り、シンポジウムを開催する予定だそうですが、本当に大丈夫なんでしょうか。少し心配になってきました。(次回に続く)

日本シェアホルダーサービス(株)
山崎 明美

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