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コラム


ネガティブリストとフォーカスリスト
2013年7月10日号

 前回の「ダイベストメント」と関連して、今回はネガティブリストとフォーカスリストについて少し書いてみます。

 ダイベストメントに比べるとネガティブリストのほうがもう少しポピュラーな言葉かもしれません。ネガティブリストは何らかの基準に基づいて投資したくないあるいは投資しないと決めた銘柄のリストです。ダイベストメント対象をリスト化したものといえます。ただし、「ネガティブリストに載せた」という場合には今後その銘柄を買わないことにした、という意味になりますが、ポートフォリオに当該銘柄が既にあった場合にそれを積極的に売却・撤退するかどうかという点は必ずしも明らかではありません。つまりAという銘柄をネガティブリストに掲載したということと、ダイベストメントすることに決定したということは必ずしもイコールではないのです。

 日本企業がネガティブリストに載ることもあります。日本ではほとんど報道されていませんが、数年前に某大手自動車会社が欧州某国の公的年金のネガティブリストに載りました。現在も解除されたという話は聞きません。ネガティブリストに載った理由は出資先のアジア企業がアフリカで贈賄を行っているというものでした。他にも海外現地法人や海外取引先が児童労働や苛烈な労働環境で労働者を働かせているといった理由でネガティブリストに載っている日本企業もあります。サプライチェーンについては海外、特に欧州投資家はかなり気にしています。問い合わせの手紙などを受け取った日本企業も沢山あります。読者の皆様の中にもこういったレターを受け取られたところもあるのではないでしょうか。

 ネガティブリストというと、それこそネガティブな印象がありますが、逆手にとって使われることもあります。つまり、問題のある企業をリストアップし、リストに掲載されている企業に働きかけ、つまり、エンゲージメントを行って改善に導くことで株主価値向上を実現しよう、という考え方です。ただし、その場合はネガティブリストというよりも「フォーカスリスト」という言い方がなされます。フォーカスは焦点ですから、リストに掲載された企業に焦点をあてていく、ということになりますね。有名だった(過去形です)のはカルパースのフォーカスリストです。数年前までカルパースは株主総会シーズンになるとフォーカスリストを公表し、「○○社の××議案に一緒に反対しましょう」という呼びかけを行っておりました。

 先日ある欧州の大手年金基金がタバコ関連産業各社に対してエンゲージメントを行ってきたものの、成果が思わしくなく、結局はダイベストメントの対象とするという結論を出した、というニュースが出ていました。これはフォーカスリストがネガティブリストになってしまったという実例です。

日本シェアホルダーサービス(株)
山崎 明美

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